血液凝固の仕組み(ヘパリン)

抗凝固薬

普段透析管理をする上で血液の凝固は切っても切り離せないほど密接に関わります。今回はその凝固の仕組みを簡単にまとめていきます。

普段私達は怪我をすると血がでますが、しばらくほっておくと止まります。

ですが、普段生活する中で血管内を流れている血液は凝固しません。なぜでしょうか?
これには血液凝固カスケードが関わってきます。

血液凝固カスケード

血液の凝固の順番は通常、内因系、外因系で分けられます。

●内因系
組織因子(血管外の組織)以外の異物に接触することにより作用する。つまり血漿中の物質のみで反応する。
●外因系
組織因子(血管外の組織)によって反応する。つまり、血管の損傷によって血管外の組織因子から侵入されることで反応する。

正直、ここまで難しすぎてわかりませんよね・・・
イラストで説明していきます。

血小板の働き

血小板は怪我をしたとき血を止める作用がありますが、普通に生活する上で血液を固めてしまうと血管が詰まり大変なことになります。
なぜ、血管内では固まらないのでしょうか?

それは血管内皮と血小板はマイナスに帯電しているため反発し合います。そのため血小板が血管に粘着することがなく固まらない為、普段は生活できます。



こんどは怪我をしたときの働きをみていきます。

血管が損傷(怪我など)して出血が始まると。血小板は損傷部位を治すために出血部位に集まります。

怪我をするとその部分のみ、マイナスの帯電が剥がれ血小板が集まります。


血小板同士マイナスに帯電しているため普段は引き合うことはないですが、このときVW因子(接着剤の役割)によって血小板同士が引きつけ合います。


ここまでくると血小板は次々に引きつけ合い(凝集)怪我をした出血部位を塞いでしまいます。


最後に血液凝固カスケードにある凝固因子系の働きによりフィブリンが形成されより強固な止血が可能となります。

ヘパリンの作用機序は?

ヘパリン単体では抗凝固作用はありません。血漿内のアンチトロンビンと合体することでトロンビンに働きかけ抗凝固作用が発現します。

イラストで見ていきます。


普段アンチトロンビンは血漿内でトロンビン作用を抑えるため働いています。(血栓防止)
この状態だと反応速度が遅く効果も弱いです。


血管内にヘパリンが投与されると。。。


ヘパリンはアンチトロンビンと複合体を形成しトロンビンに対しての抗凝固作用が数千倍に跳ね上がります。


ヘパリン+アンチトロンビンの作用によりトロンビンによる凝固作用が阻害されます。


アンチトロンビンとヘパリンが複合体となることでトロンビンに対する抗凝固能が跳ね上がるため、ヘパリン単体では作用できないことがわかります。

最後に

実際はもっと複雑な作用機序が隠れています。なので凝固への簡単なイメージがつけばいいかなと思っています。以上なすびでした。

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