リン吸着剤は、便秘や下痢などの消化器症状を起こしやすいです。またリン吸着剤のうち鉄含有の吸着剤を使用すると、服用中のみ黒色便が見られることがあります。
患者さんは黒色便にびっくりするから落ち着いて説明しようね!
腎臓の機能が低下することで、食事により吸収されたリンが体内に貯留し高リン血症が引き起こされます。これを放置すると体内のリンとカルシウムが結合しカルシウムが低下することで、副甲状腺ホルモン(パラソルモン・PTH)が刺激され骨が脆くなるという仕組みになります。
高リン血症による動脈硬化や骨折を防ぐためにリン吸着剤が使用されます。
沈降炭酸カルシウム:カルタン
胃酸によってカルシウムイオンとなり、体内でリン酸と結合して消化管からのリン吸収を抑制する働きがあります。
食後の服用では、胃酸が薄まってしまい薬の効果が落ちてしまいます。なので食直後に服用し効果を最大限にする必要があります。
リンを下げる手前同時にカルシウムが上昇するため、高カルシウム血症やシャント血管石灰化のリスクも評価しながら注意して使用します。
セベラマー塩酸塩:フォスブロック、レナジェル
消化管内でリン酸とくっついて、その結合物が体外へ排出されることで結果的にリン吸収を抑制します。他の薬剤の吸収を低下させる可能性があるため食直前での服用が良いとされています。
体内への吸収率が低く安全性が高いが、便秘の出現頻度が高い傾向があります。
強い酸(塩酸)を含む製剤のためアシドーシスにより注意が必要です。
炭酸ランタン:ホスレノール
体内でリン酸とくっつくことで、リン吸収を抑える働きがあります。沈降炭酸カルシウム(カルタン)と比較してリンの低下効果が高いとされています。食直後に服用します。
炭酸(弱い酸)を含む製剤なので、セベラマー塩酸塩(フォスブロック・レナジェル)に比べアシドーシスへの懸念が少ないとされています。
ビキサロマー:キックリン
体内でリン酸とくっつくことでリンの吸収を抑えます。セベラマー塩酸塩(フォスブロック・レナジェル)と比較すると薬剤の膨らみが少なく、便秘も少ないとされています。
他の薬剤の吸収率を下げる可能性があるため、食直前での服用が推奨されています。
クエン酸第2鉄水和物:リオナ
成分中の鉄が消化管内でリンと結合することでリンを排泄する働きがあります。鉄剤が含まれているため腸管粘膜を刺激されることで、下痢になる場合があります。
鉄によって黒色便や貧血改善効果があります。食直後の服用が推奨されています。
鉄欠乏性貧血の治療に使用されることもある薬だよ!万能だね!
スクロオキシ水酸化鉄:ピートル
成分中の鉄が消化管内でリンと結合することでリンを排泄する働きがあります。鉄剤が含まれているため腸管粘膜が刺激され、下痢になる場合があります。鉄によって黒色便や貧血改善効果があります。食直前の服用が推奨されています。
最後に
リン吸着剤は食事中のリンの吸収を抑える薬で、体の中に取り込まれているリンには作用しません。摂取量を抑えることが高リン血症の予防に繋がります。透析患者のリンの管理目標値は3.5~6.0mg/dlです。
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